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False Islandに参加中、Stella Hartnett(1115)のPLによるなんやかや。
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一口、金属製の杯に口をつけ、中の液体を口に含み、飲下す。
独特の香味が鼻から抜けると共に、熱い液体が咽喉から胸、腹部へと至り、
冷えた大気によって熱を奪われ、強張った身体を穏やかに暖める。
杯を下げ、湯気の消えた視界に映るのは、白み始めた明け方の空だった。

――そろそろ、動き始める時間だろうか。

一口、再び手にした杯を持ち上げ、火傷をしないよう慎重に口に含む。
中身は、遺跡の外と中で入手しておいた、野生の薬草を煎じた物だ。
良薬口に苦し、ではあるが、これは薬と言うほど刺激的な物ではない。
逆に言えば、劇的な効果を保障する物でもないわけではあるが。

そのまま、幾度かの回数に分け、薬湯を完全に飲み切る。
空になった杯を傍らに置き、毛布を纏ったまま腕を上げ、身体を伸ばす。
と、下げようとした腕に巻きついた包帯代わりの布が目に入る。
先日の戦闘で負った傷。致命傷ではないが、蠍の毒針によるものだ。

痛みは、無い。そもそも傷は浅く、幸いにも遺跡の蠍は毒の弱い種類のようだ。
さらに、毒針の一撃を受けたのは大勢が決し、戦闘が終わる直前。
そのため毒抜きもすぐに行え、大事には至っていない。
薬湯は、まあ、体内に僅かに残った毒の中和の為だが、念の為程度の物だ。

問題は――思いの外、遺跡内の探索が危険だったということだろうか。
いや、この手の商売を生業とする者に危険は付き物ではあるのだ。
とは言え、遺跡に棲む住人達との戦闘での消耗が、余りに大きすぎる。
至上目的は探索、戦闘は最小限であるにも関わらず、だ。

一度、遺跡を脱出し、対策を立て再進入した方が良いのではないか。
昨夜の野営の席で出た、第一の、そして極めて切実な議題である。
が、結局の所、未だに答えは出るに至っていない。
各々戦闘による消耗が激しく、早急な休息が必要だったのだ。

と、そうこうしているうちに、空は大分明るくなったようだ。
考えるべき問題、取り組むべき問題は未だ解決せず。
とまれ、自分一人で考えるべきでも、決定できる問題でもない。
さらに言うならば、焦りは禁物である。
ついでに仕事――食料の管理と調理は私の担当だ――を始めなければならない。

毛布を剥ぎ取り、荷物から食材類を取り出す。
外気は未だ寒いが、動いていれば身体は温まるだろう。
この先の進退に関しても、冷静に出来ることをしていればいいはずだ。
出来ること。並べられた食材に視線を一巡りさせ、調理法を考える。





ある意味、こちらの方が難問だった。
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