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False Islandに参加中、Stella Hartnett(1115)のPLによるなんやかや。
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空を裂く音と共に飛来した何かが、次の瞬間澄んだ音を立て弾かれる。
咄嗟に身を交わし、確認できたのは、目標を外れ、石畳に転がる一本の金属針。
身に染み付いた経験が、身構え、反射的に投擲された方向へと向けられる。
刹那、視界に映ったのは、雲間の光に一瞬煌めく、複数の金属針だった。

視界一面を埋める、白、白、白。
ついでに、その白には羽撃きが空を打つ音も伴っていた。
地面から剥がれる様に天に昇って行くのは、広場に集まっていた鳩の大群。
最後に飛び立った鳩を視線で追い、自然見上げた空は、
快晴とは言えないが、所々にたなびく雲は少なく、穏やかな昼下がりの表情。

視線を落とし見れば、敷き詰められた石畳はほとんどが乾き、
僅かにその隙間に朝方の雨の名残が見受けられる程度だ。
荷物は厚手の紙袋と、その下には腕にかけるように畳んだフード付きのマント。
念の為ではあったが、どうやら、雨具は必要なかったようだ。

吐息、ふと、出入り口を塞いでいたことに気付き、
その場――石畳より数段高く作られた雑貨店の入り口の前――から降りる。
歩み始めると、頬、髪、そして身体の露出した部分を空気が撫でて行く。
身体を動かすとじっとりと汗をかき、鼻腔には湿気の気配がするが、
広場に立ち並ぶ露天からの様々な匂いも入り混じり、まあ、悪くは無い按配だ。

街には通常様々な色を持った界隈が存在するが、
ここは自分達の様な「はずれ者」と、一般の住人達の曖昧な境界線上にあった。
とは言っても、どちらともつかない販売店があるだけであり、
本来、一般の住人と我々の様な人種が交わることは、依頼以外では滅多に無い。
また、通常遺跡の探索に必要な物は冒険者街で手に入るし、手に入らない。

石畳を踏み進む足元、ブーツも探索用の実用性重視の物ではなく、
ひらひらと舞うスカートも、探索では有り得ない物だった。
一応、多少異質な世界に足を踏み入れるため、格好にも気を使っているのだ。
流石に街中であからさまな武装をするわけにもいかず、無用のトラブルも避けたい。

抱える紙包みの中身も、一般的な調味料である。
最も、野戦食で使う分には少々種類が多く、冒険者街では手に入らない。
非効率的と言えば非効率的だが、神経を張り詰め続ける探索行、
工夫を凝らして上手い食事を作ることも、適度な休息には必要だろうと思う。
単なる買出し。それが、大方の経緯だったのだが。

スカートの端を引っつかみ、出来うる限りの全力で走り続ける。
左手側には、流れるように走る漆喰で固められた家屋の壁。
背後からは壁に弾かれているのであろう、次々と奏でられる高音の連続。

街中の至る所に存在する、路地の交差点に現れる広場の一つだ。
元は市民の憩いの場や市場に使われるが、規模としては小さな市場が開けるほどか。
多角形の広場の外縁は、漆喰で塗り固められた高層の家屋。
高度の下がった太陽の光は遮られ、広場の半ばまでは闇に落ちており、
日照時間が足りていないのであろう。石畳は未だ酷く濡れている。

また、広場の周囲、この辺りは、そもそも一般市民の生活の区域でない。
スラム、ではないが、真っ当な人種の通りかかる場所ではないだろう。
襲い掛かられてもおかしくない場所、そして、襲い掛かりやすい場所。
そのために、わざわざこの場所を選んだわけだが。

疾走する目前、路地の入り口へは残り僅かに迫っていた。
先ほど広場に入るのに使った路地。何者かの気配は無かったための選択だ。
また、荷物は捨てていない。今の状態で交わすことはさほど難しくはないのだ。
投擲の狙いは正確だが、間隔は単調で、速度は無い。
余り上等な襲撃者ではないのか、本気ではないのか、或いは誘っているのか。

まあ、宿についてこられるよりは、ここで決着をつけた方がいいだろう。
撒くにしても、人混みがなければならなく、冒険者街までそれは無い。
一つ気になることもあり、わざわざこちらから乗ってやったのだ。

路地へは、残り数メートル。この速度ならば、数歩の距離。
濡れた石畳をブーツが噛むように踏みしめ、微かな飛沫と水音を立てる。
一歩、二歩、そして、最後の一歩は――
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