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False Islandに参加中、Stella Hartnett(1115)のPLによるなんやかや。
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強く、濃い、一切の混ざり物を許さない、紺碧。
どこまでも、どこまでも、深く、高く、無限にすら感じる、深い青。
単色の視界に、眼差しの指先を押し返すものは無く。
ともすれば、引き込まれる感覚は、溶け込むように拡散し混ざり合い――

唐突に、ぼやけていた焦点が定まり、意識が覚醒する。
我に帰り、慌てて見渡す周囲は、強い陰影に描き出された、岩壁と砂の大地。
遺跡の砂地、全貌を知る由もないが、そこに走る渓谷の底だ。

顎下を伝う汗を拭い、窺う視線の先には、果て無き天の青。
しかし、今はその青は長方形に切り取られ、そびえ立つ黄色の双璧の間だ。
壁に左右を囲まれ、延々と続くのは、時折砂塵の吹き抜ける枯れた大地。

迂闊だった。
空に意識を奪われ、放心していたのはどれほどの時間か。
渓谷の底に落ちる影の位置、また、伝う汗の具合からは僅かな間だと知れる。
しかしそれは、危険な生物の闊歩するこの遺跡では、十分過ぎる隙だ。
幸いにも放心している間に襲われることは無かったのだが。

再び、岩壁の落とす影、或いは、そこかしこに転がる岩陰に身を潜め、
地形のパターン、生物の潜んでいそうな物陰、砂の溜まり場。
そして無論のこと、友好的ではない遺跡の住人達の存在。
そのようなものを含め、周囲を警戒しながら慎重に進んでいく。

渓谷の底、特に物陰を選んで移動しているため、強烈な日光は無く、
そして、他の場と違い、比較的砂の溜まり方も少ない。
それゆえ、砂に潜んだ生物の襲撃の警戒は容易であったが、
大地の裂け目、岩壁の裂け目などは狩猟者達の絶好の隠れ家となる。
先ほどのような油断は何度も、いや、二度は許されるものではない。
慎重に、緩やかに、しかし自然の湾曲を見せながら続く渓谷を進んでいく。

と、踏み出しかけた歩を止め、岩壁の陰に身を潜める。
屈み込み、慎重に陰の向こう、ちょっとした広場になっている場所を窺う。
相変わらずの砂岩と、岩の枯れた大地の、単調な色彩。
乾燥した大気と強い日差しは、その色彩を変わらず濃く描き出しているが。

居た。高い岩壁が広場に作り出した陰、そこに蠢く何者かの姿が。
保護色なのであろう、岩と砂の大地がそのまま動き出したかのような、
暗い色彩の、そして、頑強さを予測させられる、堅い鱗に覆われた体躯。
前回の進入でも対峙したことがある、巨大な牙と体躯を持った蜥蜴。
出来ることならば、対峙は避けたい強敵だ。

ざっとしか見ていなかった周囲の状況を、改めて確かめ直す。
牙蜥蜴の居る位置からして、どうやらやり過ごしての広場の通過は出来そうにない。
さらに、ここまでの道程は、ひたすらの一本道である。
岩壁を登り、渓谷の上を行く手もあるが、脆い砂岩の高き壁、
併せて、渓谷の上は、容赦なく照りつける灼熱の太陽の地獄であろう。

万が一にも気取られぬよう、慎重に気配を殺して岩陰の奥へと退く。
そのまま、踵を返し、多少足早に元来た道を辿り帰りはじめる。
斥候はここまでで限界だ。いい知らせとは言えないが、成果もあった。

小走りに駆ける足元で、大地が乾いた音を立て、砂をにじる感触を返してくる。
渓谷を吹き抜ける風は暑いが、湿気が無いため不快感は無く。
背後に流れていく岩壁と相合わさり、疾走感を、疾走の喜びを生み出す。
万事が問題無し、という事でもないが、まあ、なんとかなるだろう。





この時は、そう思えたのだ。
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